ベッド納品時に、利用者さんや利用者さんのご家族から”介護ベッドに敷布団を敷いても大丈夫なのか?”という質問を良くお受けします。安全上、敷布団を使わないほうが良いケースが多々ありますので、注意して頂きたいと思います。では、どのような時、介護ベッドに敷布団を使用するのを避けたら良いかを利用者の状態別にご紹介します。
ベッドから自力で立ち座りができる方
ベッドから自力で立ち座りができる方は、ベッド上で動きやすく、安定した姿勢保持のしやすい環境が必要です。ベッド上が柔らかいと、動きを妨げてしまうため、安定性のあるマットレスの使用をおすすめします。自力で立ち座りができる方が、介護ベッドに敷布団を使用した場合、次のようなことが想定されます。
介護ベッドに敷布団をしようすると、立ち座りがしにくい
特に気を付けて頂きたいことが、端座位からの立ち座り時にベッドからずり落ちして、転倒することです。敷布団は、マットレスに比べて安定性が低く、ベッドフレームとぴったりのサイズではないため、身体がずり落ちることがあります。怪我につながる場合がありますので、注意しましょう。
離床のしやすさは、寝たきりの防止にもなりますので、立ち座りが可能な方には、柔らかすぎない安定したマットレスの使用がおすすめです。
介護ベッドに敷布団を使用すると、ベッド上で寝返りなど動きにくい
柔らかい敷布団の上では、起き上がりや寝返りがしにくいです。柔らかいマットレスの上に更に敷布団を重ねた場合は、なおのこと身動きが取りにくくなります。ベッド上での快適性も損なわれます場合があります。
”背上げ”などの動作を行うと、敷布団がずれる
介護ベッド用マットレスは、ベッドフレームにぴったり収まるため、電動機能を使って、”背上げ角度”を変えてもずれることはありません。敷布団の場合は、固定させることが難しいため、”背上げ”の都度ずれる敷布団にストレスを感じる場合があります。
ベッド上で過ごす時間が長く、寝起きに介助が必要な方
寝たきりの方など、ベッド上で過ごす時間が長い方は、床ずれに注意が必要です。床ずれリスクを減らすには、身体の一部分に圧力が集中しないように、体圧を分散させることが重要です。また、敷布団を使用することで、介助しにくい場面が想定されます。
介護ベッドに敷布団を使用すると、背上げ時に身体が”ずれる”恐れがある
背上げすると、身体と敷布団の間に摩擦が生じるため、皮膚に負担がかかり、床ずれリスクが高くなる事が考えられますので、床ずれ防止用マットレスの使用をおすすめします。
介護ベッドに敷布団を使用すると、ベッド上での介助がしにくい
柔らかい敷布団の上では、利用者の身体を動かしにくいので、起き上がり介助や利用者の体位を変える時に、介助者に負担が掛かります。腰痛の原因にもなりますので、注意しましょう。
まとめ
介護ベッドに敷布団を使用することは、”立ち座りがしにくい”、”ベッド上で動きにくい”、”背上げ時の身体のずれ”などにより、おすすめではありません。ただ、長年の慣れにより”どうしても敷布団を使いたい”という利用者さんも中にはいらっしゃいます。身体状態や使用環境に大きな問題がなければ、時間をかけて、マットレスに移行していく方法が良いと思います。(ケースによります)無理にすすめると、ベッドの導入自体を拒否されることもあるので、利用者本人の意見を尊重することも重要でしょう。結論としては、介護ベッドには、介護用マットレスを使用することがおすすめです。
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